ヒッタイト王国、オリエントの諸王国は、「海の民」、インド・ヨーロッパ語族およびセム語族の大移動に条件づけられて、「東地中海世界」とよびうる歴史的小世界を形づくっていたが、ドーリス人の南下定住と「海の民」の攻撃・破壊によってこの東地中海世界が崩壊したあと、地中海地方には、各地に諸民族・諸種族の小集団が村落的に定住していた。
このころを形成期とし、またほぼ紀元後6世紀に至るまでの二、三百年間を崩壊期とするその間の長い時期を地中海世界とよぶ。
一つの歴史的小世界としての地中海世界の構造的な特徴は、そこにおける諸種族の小集団(共同体)の構造とその発展の仕方にみいだされ、さらにそれら諸共同体相互の関連の独自のあり方に求められる。